劇場をから出た時、雨が降っていた。
ただ、空は明るかった。
遠くの方に晴れ間が見えていたからだ。
自転車で来ていた私は、その青い空に向かって走っていた。
今思えば、映画館で雨宿りをすればよかったのだが、
走っていた。濡れながらでも、走っていたかった。
そうして今、雨雲を通り越えた先のベンチでメモ帳を広げている。
『バッテリー』
静かだ。
さっきまで劇場で子供たちとたわむれていたからだろうか。
場内にいた子供たちへ。開演前にトイレは済ませておくこと。
これはozyお兄さんとの約束。
そして今、目の前をミミズがはっている。
太陽の光を浴びて。そういえば久しぶりに見たな、ミミズ。
子供の頃を思い出した。
小学生の時、私も少年野球をやっていた。
8番でライト。お父さん(岸谷五朗)と同じではないか。
ギリギリレギュラーである。
ミミズが丸まりだしている。
ものすごい勢いで頭とシッポが絡まり始めた。
ただ、どちらが頭かは聞かないでほしい。
あ、まっすぐになった。
何の話をしてたっけか。
そう、野球。
この作品のテーマは野球だが、家族の物語でもある。
そして原田巧(林遣都)の弟・青波(鎗田晟裕)がとにかく萌えなのだ。
青波が嬉しそうに笑っている時は観ているこちらも嬉しくなり、
青波が苦しんでいる時は身も凍りつくような悲しみが襲う。
私のバイオリズムは青波とともにあった気がする。
また、丸まっている。
今度は飛び跳ねまくってる。春を感じた。
ミミズはこんなことを繰り返して、いったいどうしたいのだろう。
わからない。わからないが、このミミズを家に持ち帰り、
その一生を見届けることで何かがわかるかもしれない。
でも、それは違うのだ。ミミズ君はここで、一生懸命生きている。
その姿を見て元気をもらった私は自分の場所でふんばることだと思う。
見ていてほしい。今度は私が勇気づけてあげる番だ。
また来るよ。それまでのお別れだ。元気でな。
ベンチを立ち上がった時、満天の青空が広がっていた。
追伸。
作品があまりに青春ど真ん中だったので、
メロリンカーブを投げていました。
言葉では届かない思い、伝わったら嬉しいです。
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