2007年02月21日

別冊「aada」2007.2.21

2月21日です。

別冊「aada」の時間ですよー。
#『時間ですよ1973』のマチャアキで.

青筋を立てながら、今夜もお送りします。

別冊「aada」1998-2007
#2007年3月で限定ページは終了しました.
#あらためてこちらで再掲載していきます.

今日は何故この時期になると何かをしたくなるのか
という話をちょこっと。

思いつくのはたいがい年末から年始にかけてです。
いわゆる年賀状を書かなくてはいけないのに、
新年のテーマが何も決まらずちょっと小旅行に
出掛けちゃう時期です。そんな時にパッと、思いつきます。

1月中にああだこうだと考えて、
実行する時期は2月3月が多いです。
いわゆる卒業シーズンですよね。
キーワードは「せつなさ」です。

似たようなところで、8月の終わり頃も
何かやってる時があります。
#最近では「略語でGO!」(2005年8月)

2月3月はとくに別れのシーズンでもありますよね。
せつなさの象徴、卒業式。
この支配からの卒業。
卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう。
そんな別れの中で、体育館を出た時に咲いている
桜の花は、やっぱりずるいなと思いながらも
心奪われるんですよね。
そういう、せつなさも悲しみも希望も全部
温かく見守ってくれる桜みたいな作品を
いつか作れたらなと思ってます。

長くなってしまいました。それでは第三話です。
よろしかったらどうぞ



『告白前』 / 同日 面接

 教室の真ん中に椅子が五つ並んでいる。黒板の前には三人の先生方が待ち構えていた。
受験生五名は先生の承諾を得た後、静かに着席する。第一印象で先生方の目を引いた生徒は、やはり両端で座っている二人の男女だろう。一番窓側に座っている顔の引きつった女子と、一番廊下側で緊張とは違う汗をたらしている男子。誰の目から見ても、二人はこの場で浮いていた。
「どうしましたか? 両端のお二人さん。ずいぶんと緊張されているようですが」
二人は同時に、そして対称的なトーンで、
「大丈夫です」
と合った。
(なぎさぁ〜) 春菜は心の中で、そう叫んでいた。

 面接は先生の質問に対して端から順番に生徒五人が答えるという形式で進んだ。
先生「はじめに受験番号とお名前、それから出身校をお聞かせ下さい。では窓側の方からどうぞ」
渚 「三一七番。内田渚。相模第二中学校出身です」
春菜「三一八番。加藤春奈です。同じく相模第二中学校出身です」
・・
章夫「三二一番。藤沢南中学校出身、江守章夫です」
(ぶーぶー) 渚は心の中で、そう叫んでいた。

先生「はい。ありがとうございました。では次の質問です。好きな教科を教えてください。今度は加藤春菜さんからどうぞ」
春菜「はい。社会です。とくに世界の地理に興味がありまして、世界地図を眺めているだけでもその国を訪れた気分になり、楽しいです」
先生「何ごとも興味を持って自分で調べることは大切ですね」
春菜「はい!ありがとうございます」
・・
先生「では、江守章夫さん。好きな教科をどうぞ」
章夫「家庭科です」
渚 「ぷっ」思わず吹き出す。
先生「内田さん。笑いごとではないわよ。これからの男の子はこうでなくっちゃ」
渚 「…はい」えらく不機嫌。
春菜「渚。かおっ」 …でも、やっぱり悪い人ではなさそう。

 笑顔に戻った章夫は、自然と渚に目を向けていた。窓から差す西日で型取られた黒い影、その中で光る面接中とは思えない凍り付いた瞳に、章夫は魂を再び抜き取られる感覚に襲われた。
章夫「…い、以上です」
 章夫は何かを追い払うように、頭の中で鎌倉幕府発足の年号を唱え続けた。春菜は何だかいたたまれない気持ちになっていた。
先生「もう少し江守さんの好きな家庭科のお話を聞いてみたかったですけどね。では内田渚さん、お願いします」
渚「はい。体育です!」

 長いようで時間だけはあっという間に過ぎていくのが面接である。
先生「次が最後の質問になります。この学校の印象を一言づつ、順にお聞かせ下さい。では加藤春菜さんからどうぞ」
春菜「はい。校舎の中がとても綺麗で、歩いているだけで嬉しくなりました。特に図書館の規模の大きさには驚いています」
・・
章夫「教室の窓からの眺めが、想像していた以上に良かったです。あの丘に立っているクスノキは子供の頃からよく登っていました。その頃からこの学校に入ると、もう決めていたような気がします。とにかく今、嬉しくてしょうがありません。この学校の制服を着て、早くあの丘で昼寝をしたいです」
 教室に温かい笑い声が響き渡る。ただひとりを除くが。
渚 「教室がとても綺麗で、勉強も集中してできそうです。昼寝しているような生徒だけには負けたくありません」
先生「あら、そんなに根詰めなくてもいいわよ。そうね。たまには彼と一緒にお昼を過ごしてみたら」
渚 「うっ」
さすがに渚もこれには面食らったようで、力なく
「…はい」
と答えていた。
 優しく笑顔で受け止める先生。春菜はこの先生が担任になってくれたらと心から願った。

 試験は全て終了。
おわったああぁ。この背伸びする感じ。気持ちいー!

 駅へと続く長い下り坂からは、ひょっこり海が見渡せた。
「この景色が毎日見られるといいね」
「…うん」
渚はもうセミの脱け殻みたい。彼に突っ掛かる時だけ、いきいきしてたような気もするけど。でも、ホント今日はよく頑張った。
「ねぇ渚。あの面接の時の先生が担任になってくれたら嬉しくない?」
「…あぁ。うん。でも、あたしはあんまし」
「私ね。ますますこの学校に入りたくなっちゃった」
「…アイツには会いたくない。アイツは落ちろ!」
「もう…。そういえばあの人、子供の頃からこの辺で遊んでたって言ってたよね。この辺に住んでるのかなぁ。中学も藤沢南って」
「いいよもう。アイツの話は。どうせ、会うこともないっしょ」
一日中「落ちろ」コールをくりかえす渚に、少し違和感をおぼえる自分がいた。




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ラベル:告白前
posted by ozy- at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ああだこうだ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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