2006年02月14日

数式で繋がった記憶

映画『燃えよドラゴン』を観終わって映画館を出た後、


観客はしばらくブルース・リーになりきっていたという。


あぁこういうことかと思った。


博士の愛した数式』を観終わった後、


私は博士(寺尾聰)になっていた。





博士の愛した数式





歩き方、仕草はもちろん、こう たたずまいが博士だった。


世界の見え方が少し変わった。


今まで通り過ぎてしまうようなことも、立ち止まって


考えることができた。


たとえば、図書館や駅などの公共の施設に置かれた銅像。


重々しい場所になればなるほど全裸の可能性が高いことに


気がついた。


人が行き交う中しばらく眺めていると、銅像とその場を


取り囲む環境とのコントラストが、陰と陽の対比を醸し


出しているようで実に趣がある。





今まで選んできた学科や職業は理数系に片寄っていたが、


私の心は常に純文学だった。


数学の公式はあまり覚えてこなかったが、ひとつだけ


忘れられない公式がある。


物理の講義で、先生が「オイラーの公式」を頻繁に口にしていた。


「オイラー、オイラー」と繰り返すたびに、なんだかその先生が


編み出した公式なのだと間違った解釈をしてしまい、その学期の


物理のテストは点数一桁だった。大学一年の春。


ほろ苦い思い出だった。





忘れかけた記憶が博士によって、ひとつよみがえった。


こうして話すことによって、記憶は無へと還っていくような気がする。


実にすがすがしい気分だ。



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