万俵鉄平(木村拓哉)
「諦めない」
『華麗なる一族』 第六回 「万俵家の崩壊」
1993年。
ドラマ『ひとつ屋根の下』が放送されていた頃、
私は高校1年でした。
放送部に入部し、洋楽というものに初めて触れ、
そこで出会った一曲が、イーグルス「デスペラード」でした。
歌詞カードの英文の上にカタカナで読みを書き、
何度も繰り返し歌うことで、歌詞を見なくても
歌えるようになりました。
当時は、ZARDやWANDS、TBOLANなどビーイング系の全盛期。
放課後はカラオケにもよく行きました。
「負けないで」やclass「夏の日の1993」が流れるBOXの中、
歌本の後ろの方にあるウェディング特集やクリスマス特集に
まぎれた洋楽コーナーを開き、“イーグルス”を探していました。
B'z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」で
会場総立ちで盛り上がった後、突然流れてくる
The Eagles「DESPERADO」のイントロ。
マイクを握り、歌うステージに向かう私は緊張の頂点です。
♪デースペラード
カラオケBOXにいるほぼ全員が歌本を開いていました。
確かに今週のカウントダウンTVにこの曲はランクインしていません。
今月号の「WHAT's IN?」のアーティスト検索目次を見ても
“イ”行にイーグルスの名前は載ってはいません。
歌いながら何度涙ぐんだことでしょう。
それでも、私は歌い続けました。
14年間、聴き続けていきました。そして、2007年1月。
『華麗なる一族』第三回(1.28)
その一瞬はやってきたのです。
エンディングで流れる重い白黒の世界から、
提供のバックで光り輝くあの太陽のように、
音を立てて何かが昇っていくようでした。
万俵鉄平の「諦めない」という言葉を受けとめる男が
ここにもひとりいるということです。